デジタルサイネージコラム
デジタル技術はマーケティングや広告としての利用から、アートや演出ツールとしての利用へと広がりを見せつつあります。今回は色々なデジタル技術で叶える空間演出ついてご紹介いたします。
■空間を演出するということ
空間演出という言葉を知っていても、具体的にどのようなものを指すのかご存知でない方もいらっしゃるのではないでしょうか。最初に空間演出がどのようなものかについてご紹介いたします。
・空間演出とは
空間演出は人間の五感全てに働きかけることで、強いインパクトを伴い記憶に残ります。
そのため、一つひとつの感覚に訴える演出ではなく、複数の感覚に同時に訴える演出をすることが空間演出として重要だといえるでしょう。
テーマパークが実施している料理のメニューや施設内の清掃に非常に気を遣うことも、来場者が非日常的な体験ができるようにと考えられた空間演出の1つです。
・空間演出が与えてくれるもの
五感全てに効果がある空間演出を行うことで、大きな驚きや感動を共有することができます。複数の感覚神経に影響を与える空間演出は体験として記憶されるため、思い出として鮮明に刻まれやすくなります。
■デジタル技術を使った様々な空間演出
デジタル技術を使った空間演出として、3種類ご紹介いたします。
・プロジェクションマッピング
デジタル技術などに詳しくなくても、メディアで大きく取り上げられ話題になったことがあるプロジェクションマッピングならご存知の方も多いのではないでしょうか。
建物や物体、空間といったものを利用して映像を流すことを「プロジェクションマッピング」と呼びます。最近では「大阪城イルミナージュ」という大阪城を使ったプロジェクションマッピングが話題になりました。
プロジェクションマッピングは人気が高いゲームや映画などとコラボレーションされることも多く、話題性が高いという特徴があります。
・LEDビジョンウォール
LEDビジョンは液晶ディスプレイに比べて熱をもちにくく、画面を曲げて設置することができるため空間演出に向いています。また美しい映像を流すLEDビジョンは直射日光に負けないほどの明るさがあるため、屋内外を問わず設置することができます。
最近では、アーティストがライブやコンサートを行う際に音楽と共に映像を流すことでより感動的な演出を行っています。
・3Dホログラム
普段我々が目にしている映像は2Dと呼ばれる平面の映像です。3Dホログラムは平面ではなく立体としてデータを記録することにより、専門の機器を介して立体的な映像として見ることができます。様々な角度から見ることができるため、まるで本物があるかのように感じることができます。
■デジタル技術を使った空間演出の具体例
先ほどご紹介したデジタル技術を使った空間演出の具体的な例を最後にご紹介いたします。
・ショーやイベントの舞台演出として
大きな場所や建物を使った空間演出にはプロジェクションマッピングが有効です。
プロジェクションマッピングは多くの人が同時に楽しむことができるため、その場にいるだけで周囲と感動を分かち合うことができます。
2017年に横浜で人気度・知名度がともに世界的なゲーム作品が、周辺の建物を利用したプロジェクションマッピングを放映しました。近くにある観覧車の形を活かして周囲がまるで作品の舞台になったかのような演出が行われたことにより、ゲーム作品のファンだけでなく、幅広い層からも関心を集めることができました。
・内装のインテリアとして
LEDビジョンは人が近づいても熱を感じにくいため、店内の限られた空間に使用しても安全です。
店内の内装を季節ごとに変えたくても、壁紙を変えるには時間も費用も掛かります。しかしLEDビジョンを壁紙として使用することで、季節を感じさせる映像を流すことが可能になります。LEDビジョンを内装に利用することで、買い物をする場所をワクワクするような空間に変化させることが可能です。全ての壁に導入しなくても、一部の壁に利用するだけでも大きな変化を与えることができます。
耐久性が高いものであれば、LEDビジョンを床に設置することも可能です。車の展示場で使用された例もあり、十分な集客力に繋がります。
・店舗や展示場のアイキャッチとして
3Dホログラムを店舗や展示場に導入することで、まるで商品が空間に浮かび上がっているかのように展示することができます。
実際に有名スポーツメーカーが商品ディスプレイに導入したところ、アメリカの店舗では1日の来店者数が100人近く増加したという結果が出ています。
3Dホログラムは最新の技術であるため、珍しさから興味を引くことができます。また、3Dホログラムは動画でもあるため、商品の魅力を伝えるPRにも役立ちます。3Dホログラムなら実際に商品を陳列する手間もないため、データに反映するだけで商品の入れ替えを行うことができます。
空間演出はひとつの感覚だけでなく、複数の感覚を刺激することが重要です。
記憶に残りやすくなるだけでなく、宣伝効果や集客も期待できます。デジタル技術を使った空間演出は新しい宣伝方法として活躍の場を広げていくことでしょう。