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導入するだけでは何も結果が出ない! デジタルサイネージを導入する際のポイントとは

ここではデジタルサイネージを検討している方向けに、デジタルサイネージの注意点について記載したいと思います。
注意点はデジタルサイネージの概念に沿って記載するため、デジタルサイネージとは」 も合わせてお読みいただければ幸いです。

デジタルサイネージの役割についてを、まず理解しましょう。

デジタルサイネージは主に、以下の3つのカテゴリで活躍しています。

1.ブランディング・マーケティング・プロモーション
2.情報訴求・情報周知
3.空間演出・エンターテインメント演出

この3つの要素での共通点はアウトプットの「場所を特定している」という事です。 インターネットやテレビのようなマスメディア的な立ち位置ではないという事です。

ターゲットとロケーションに密接な立ち位置でのアプローチ手法とご理解いただければ幸いです。

また、「デジタルサイネージとは?」のページで、記載したとおり、

「情報」「演出」「広告」などの電子データを、
どんな目的で、だれに対して
どのような方法で
どこに設置された
アウトプット(デジタル表示装置)で
どんな見せ方をするか?

というストーリーがあって、初めて成立する仕組みでもあります。

ここでの注意点は、ストーリーを作るうえで、前提のマーケティングデータやコンセプト、ブランディングがきちんと作れているか?という点です。
デジタルサイネージの導入だけが目的になっていませんでしょうか?

デジタルサイネージは導入さえすれば、ブランディング・マーケティング・プロモーション・情報訴求の課題を解決してくれる「物」ではありません。

デジタルサイネージはアウトプットの「場所を特定している」からこそ、「ターゲット」があり、その背景には「店」や「施設」があり、その背景には「商品」や「サービス」があり、そのまた背景には「ブランディング」があります。

これらをまとめて「マーケティング」がなければ、ストーリーを作るのは不可能です。

単純な「情報訴求・認知」でも同様です。

デジタルサイネージを導入するという事は場所を特定しています。
その情報訴求を誰に対して?というポイントがなければ、いくらアプローチしても情報は届きません。
逆に言えばデジタルサイネージはインターネットやテレビなどのマスメディアと異なり、ターゲットを明確にすればするほど、明確な効果が得られます。

デジタルサイネージを導入して、効果が見えない!というお客様の意見を聞くと、共通してこの部分が欠けていることがわかります。

これからデジタルサイネージの導入計画をされる方や、すでに導入しているが効果が見えない・わからない・効果が無いと思っている方々はこの部分を見直して再計画をするだけで明確な結果を出すことが可能です。

効果が無い!? 効果がわからない!? デジタルサイネージの特徴 5



1. コンセプトとターゲットが明確になっていない(ストーリーが無い)
2. デジタルサイネージを商品だと思っていて、「簡単」「安い」というキーワードにとらわれている
3. コンテンツをほとんど入れ替えることもなく、同じコンテンツだけを流している
4. 計画にマーケティング部門を絡めていない
5. ハードウェア購入計画だけ先行してコンテンツは後回しで計画されたデジタルサイネージ

※弊社に相談していただくお客様の例から、ほとんどがこのうちのどれかに当てはまります。

デジタルサイネージの検討から導入までにおける注意点

ここは、皆さまが意外と知らない、目を向けていない項目で、とても重要なためにご説明させていただきます。

デジタルサイネージを導入する上で、まず初めに「マーケティング」から着手します。

「マーケティング」というと難しく考える方は多いかもしれませんが、「整理」すると考えてください。整理すべきポイントはデジタルサイネージの概念で登場した以下となります。

1.「情報」「演出」「広告」などの電子データを、
2.どんな目的で、
3.だれに対して
4.どのような方法で
5.どこに設置された
6.アウトプット(デジタル表示装置)で
7.どんな見せ方をするか?


企業規模によっても、各項目の整理する量の差はありますが、整理すべきポイントはこれだけです。

1.「情報」「演出」「広告」などの電子データを、

現在どんなメッセージがあるかを整理しましょう。ここでは実際にデータ化されている広告やポスターではなく、企業がもっている、伝えたい・伝えるべきメッセージとして整理してください。どんなものでも結構です。

2.どんな目的で

ここでは「持っている課題」を整理しましょう。新規顧客の獲得なのか?売り上げを伸ばすのか?ブランディング訴求をしたいのか?また、インターネット(HPやSNS等)やマスメディア(テレビ・新聞・雑誌)で出来ている事・出来ていない事。ほかの店舗で出来ている事などを整理して、なるべくその特定された場所での課題を中心に整理しましょう。必ず目的はあるはずです。

3.だれに対して

上記課題を解決するためにはどんなターゲットに向けた訴求が「課題解決につながるか?」を検討してみましょう。

4.どのような方法で

上記で整理した訴求方法は「人がやるのか?ポスターやポップがやるのか?デジタルサイネージ以外でも実現できるか?」を整理しましょう。

ここでは、店全体の役割とスタッフの役割、ポスターなどの紙媒体の役割、そしてデジタルサイネージの役割を明確にするという目的で整理します。

デジタルサイネージは「場所を特定した」お客様専用のメディアですから、その役割を明確にすることで効果に繋がります。

また、継続していくためにもコンテンツ更新を店舗スタッフが手間をかけてやるのか?本部側がやるのか?またはデータベース化して自動運用化していくのか?などの「デジタルサイネージ」のコアの部分の検討も必要になります。

細かく細分化して整理していくと、「簡単」よりも、なるべく「手間がかからない運用方法」を選択したほうが、メリットがある事に気づくでしょう。

デジタルサイネージで一番効果につながらない「手間をかけない運用方法」ではありません。

5.どこに設置された

目的と役割を明確にすると、デジタルサイネージを設置すべき場所が複数上がって来るでしょう。例えば商業施設の店舗様は 店の外に向けたファサード部分と店内の最低2か所は設置場所の候補として検討するようになります。

目的を解決するための特設コーナーを作るというのも良い方法かもしれません。

6.アウトプット(デジタル表示装置)で

デジタルサイネージの計画はここから入りがちですが、ディスプレイなのか?プロジェクターなのか?LEDビジョンなのか?またはどんな大きさで?という項目は、上記のすべての内容を検討して初めて選定する基準が出来ます。アプローチで重要な項目の一つですので、ここの選定方法は間違えないよう注意してください。

7.どんな見せ方をするか?

すべての要素がある程度組み立てがったら、最後により具体的に実際のコンテンツの見せ方(デザインやコンテンツの長さ等)や、音が必要か、そうでないか?周囲の造作とのマッチングなど細かい箇所を詰めていきます。

この時点で、実際の設置工事の2か月前くらいが理想です。コンテンツのビジュアライゼーションとクオリティは確実に効果に左右されます。なるべくオープン時にはブラッシュアップされたコンテンツが放映されているに越したことはありません。

このようにデジタルサイネージはマーケティングからシステム、建築、内装、クリエイティブ、音響などの取りまとめが必要なことから、総合専門知識がどうしても必要になります。

それぞれ個々の分野とのバラバラな会話では、なかなか難しいジャンルであることを理解していただければと思います。ただ、これらの項目を無視した場合はデジタルサイネージを構築するのは誰でも出来てしまうという所がデジタルサイネージ市場での課題なのかもしれません。

コンテンツに関する注意点

デジタルサイネージのコンテンツは最重要項目の1つです。

コンテンツのクオリティによって効果は確実に左右されます。

しかし、決して「かっこいいコンテンツ」が良いわけではありません。

どんなにクオリティにこだわったとしても、全く効果に繋がらないケースもあります。

デジタルサイネージはテレビと違って、ずっと画面に向き合っているわけではありません。これを「ながら見」と言います。

・歩きながら見る ・人と会話しながら見る ・考え事をしながら見る などがあてはまるでしょう。

よって、見てもらうためのコンテンツ作りが必要になります。

動画コンテンツと言うとテレビCMをイメージしがちですが、CMのようなコンテンツはほとんど効果がないとされています。なぜなら皆、CMとわかった瞬間に見なくなるからです。

上記の理由から、そのディスプレイの環境の平均視認時間に合わせた「なるべく短い時間」で、「見てもらう」「伝える」という事をしなければいけません。

そのため、なるべく文字を読まなくても理解できる「インフォグラフィック的な表現」と、「振り向いてもらうための仕掛け」が軸になります。これらの中に通常のコンテンツを織り交ぜるなどの工夫を施した「デジタルサイネージ専用のコンテンツ」作成を心がけてください。

弊社がお勧めする効果的なコンテンツとは!?

・短い時間で訴求できるコンテンツ
・1コンテンツでの訴求ポイントは3つまで
・文章はなるべく避けて「キャッチコピーだけ」
・印象を残すには音は効果的
・カテゴリ別にトーンを統一する
・インパクト=派手さや不自然なものでは無いコンテンツ
・短いコンテンツをリズムよく表示させる
・コンテンツに季節感を出す
・コンテンツ更新頻度は多ければ多いほど良い
・その場所だけの「発見」があるコンテンツを用意する

などです。これは弊社の様々な提案内容から抜粋した参考項目であり、利用シーンやターゲティングによっても当然変わってきますので参考までに。

紙媒体やウェブ制作の観点とはだいぶ要素が異なるため、最初は慣れないかもしれませんが、共通項目を上げるとしたら、「少し視点を変えること」がポイントとなります。

出したいコンテンツではなく、ユーザーは何が見たいか?知りたいか?の視点でディレクションすると効果的なコンテンツが作りやすいです。

このことから、テレビのCM制作が得意なクリエイティターや、PC画面の前で、自らの操作によって読ませる事に重きを置くウェブクリエイターは、意外とデジタルサイネージのコンテンツは不慣れな事が多いように見受けられます。なるべくデジタルサイネージの経験値が高いクリエイティブを利用すべきでしょう。

運用方法選定の注意点

デジタルサイネージの運用(種類)は何が最適なのか?を悩んだことがあるのではないでしょうか?

・USBで簡単にコンテンツを更新できるスタンドアロン型なのか?
・ネットワークを通じてコンテンツ更新が可能なクラウドサービス型なのか?
・それとも完全に外部に運用代行するのか?
・データベース化してシステム連動し、コンテンツをある程度自動化するのか?

ここで説明するのは前提として、「効果につなげたい」場合の選定方法です。

効果を出すための前提条件として、特定の場所でターゲットに合わせたコンテンツを可変しながら出していく事です。

「簡単」「安い」というキーワードで、ランニングコストをかけたくないことからスタンドアロン型を選ぶという意見を良く聞きます。

しかし、ここで登場する「簡単」というキーワードはお客様自身がコンテンツを更新する方法が「簡単」というだけで、「集客」や「効果的なアプローチ」が簡単に出来るわけではありません。デジタルサイネージは場所を特定したターゲティングに対する訴求を得意とします。この方式を採用した場合、季節ごと、月ごと、キャンペーンごと、週単位、時間単位、または天気によってコンテンツを可変させるとなると、かえって手間でしかありません。

この「簡単」というキーワードは結果的に手間をかけたくないからコンテンツ更新もあまりしないと言う結果になりやすい傾向にあります。これでは「効果」という言葉すら出てきません。もしUSBスタンドアロン方式を採用するのであれば、1年中変わらないような決まったコンテンツを流すことを「良し」とする場合でしかありません。

しかし、それではデジタル化する意味もあまりないため、かえってポスターなどの紙媒体の方がコストも運用の手間もユーザーからも見た目も良いことの方が多いです。

USBスタンドアロン方式は一時的なイベント時の訴求での利用用途が一番適しているのではないでしょうか?

クラウドサービスはどうでしょうか?当然、通信費やクラウドサービスのランニングコストが発生します。しかし、専属の運用担当者が、ある程度店舗の動向をリサーチした上で、計画的なコンテンツが流せますし、役割分担も明確化できます。

この場合、売り場スタッフは接客にフルに時間を使うことができ、売り上げを作ることに集中できます。

このフォーメーションは、本部側でも店舗側のコンテンツ内容を把握した上で、その場所に合わせた施策が打てるため、効果には繋げやすいです。

よって、クラウドサービスのランニングコストくらいは十分回収できる方式ではないでしょうか?

次にデジタルサイネージの専属運用担当者という視点で見てみましょう。

ある程度戦略的なコンテンツ計画を実行する場合は、運用に専念できるスタッフが居る方が良いため、休みを考えると2人は最低必要になります。また、運用だけを行うのか?戦略を立てるマーケティング機能も請け負うのか?によっても人数は必要になってきます。

ほかの業務と兼務するのか?という観点も必要になります。すべてを自社のチーム体制で行えるのであればクラウド運用で問題ないですが、チームがなく、新たに用意する場合はどちらが効率的か?コストメリットが出るのか?を検討する必要があります。

ベストは戦略を考えてまとめるチームは一番内部事情に詳しい自社で行い、手間のかかる運用は運用代行サービスに任せるという手段もあります。

人を雇うのとアウトソーシングのコストバランスで検討してみても良いでしょう。これは社内の清掃をアウトソースする感覚と似ています。結果論どちらにメリットがあるかを判断して検討してみても良いでしょう。

その他、完全にシステム化してコンテンツ運用をある程度自動化するという方法もあります。こちらもコストはかかってくるため、求める効果と手間とのコストバランスを読み解いていく必要があります。
最初はスモールスタートで、後にどんどん戦略的計画を実行していく場合も、後の発展の時にフルリプレイスする事になるスタンドアロン方式でなく、最低限クラウドサービスからスタートさせた方が良いでしょう。

ここでクラウドサービスの選定のしかたについても補足しておきます。

クラウドサービスは各社のコスト差があります。

「コンテンツを配信する」という機能は基本どれも大差がありません。

「使いやすい、使いにくい」も、それほど大差がなく「慣れ」という言葉で簡単に解決できてしまいます。

ここでの注意点は、初めは「コンテンツを配信する」という概念しかないため、コストが安いサービスを選んでしまう事です。

重要なのは、効果につなげる戦略的計画を実行する段階で、どれだけ発展形が作れる仕組みや機能を持ち合わせているか?の部分です。

ここに各社クラウドサービスの価格差が隠されています。

当然、値段が高い方がのちに確実に効果に繋がるメリットを多く備えている事が多いです。

デジタルサイネージで得られる効果は、このわずかなコスト差の何百倍もあるため、必ず導入する際は、後の効果を考えた中長期的計画を立てることをお勧めします。

出だしを間違えると、なかなかその状況から抜け出せなくなり、結果的に失敗に繋がるという事は誰もが知っているの事なのではないでしょうか?

ハードウェア選定での注意点

上げたらきりがないのですが、各メーカー、各製品の「メリット・デメリット」は当然あります。問題はどのメーカーもメリットしか提案してこないことでしょう。

ここを見分けるには、より多くのメーカーの話を聞くことではないでしょうか?

皆さまは家電を選ぶ時には各メーカーに直接話を聞いたりしませんよね?
総合的な話ができる家電量販店のスタッフに聞いて比較検討されていると思います。

これと同じく、きちんと比較検討が出来るフローを立てましょう。

デジタル製品は「不測の事故」はつきものです。これが無いものを探すのではなく、万が一の場合に何ができるか?の策が多ければ多いほどお客様は安心するものです。

弊社の場合、ハードウェアの選定基準をきちんと定めており、調査や見直しを継続的に行っているからこそ、安定稼働するものをお客様に届けることが出来ております。

まとめ

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。 ここまで読んでいただいた方は、「デジタルサイネージの選び方」という言葉自体がおかしな言葉だと気づいていただけているはずです。

今まで皆さんがイメージしていたデジタルサイネージの選び方は、デジタルサイネージのアウトプット(表示装置)の選び方です。

本来は、アウトプットを決めるのは最後の最後です。

それを決める過程で「マーケティング」であったり、「ターゲティング」であったり、デジタルサイネージを実行する上で必要最低限やらなくていはいけない事が項目が沢山あります。

皆さまが欲しいのは「デジタルサイネージという物」ではなく、「それによって得られる効果」です。

当然企業として予算の概念は重要ですが、「コストの視点は」はデジタルサイネージの選び方の軸ではありません。

安い、高いだけの判断は誰でも出来てしまいます。しかし、その先にある本質的な部分を読み解くことができる企業さまは、確実に結果につなげていく事ができます。

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