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デジタルサイネージコラム

駅内のデジタルサイネージ広告は本当に効果的?【調査と実例紹介】

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最近はデジタルサイネージを使った広告が駅の中に設置されている光景を多く見かけるようになりました。日本は外国に比べてデジタルサイネージの活用がまだまだ遅れているものの、徐々に変化してきているようです。しかし、駅のデジタルサイネージ広告は本当に見られているのでしょうか…。

今回は駅のデジタルサイネージ広告についての調査と実例をご紹介します。

 

 

■「駅の広告を見ていますか?」

 

一都三県で3日間に渡って実際に駅の広告がどれくらい見られているのか調査が行われました。まずはその調査結果についてご紹介いたします。

 

・駅では携帯を操作している人が多いが…

調査では計969名を対象に、ホームで電車を待っている間に何をして過ごすかについて質問をしています。

過ごし方の項目は「携帯電話を操作する」「ホームから見える広告を見る」「音楽を聴く」「本を読む」「その他」「特に何もしていない」の6つ。

割合の多い順に「携帯電話を操作する」約7割、「ホームから見える広告を見る」約4割、「音楽を聞く」3割と続きます。

調査に参加した人は、「携帯電話を操作する人が圧倒的に多いとは予想していたが、音楽を聴くよりもホームから見える広告を見ると回答した人が全体の半数近くいることに驚いた」とコメントしています。

 

・駅利用者がもっとも注目している広告とは

さらに広告を見る頻度は電車内のデジタルサイネージ(動画)と答えている人がもっとも多いという結果が出ました。動きのある広告は目につきやすいだけでなく、印象的で面白いと感じる人が多いようです。また、電車内のデジタルサイネージは広告だけでなく停車駅など運行情報も流しているため、注目度の高い場所であると考えられます。

 

・デジタルサイネージは見ている人も見ていない人も多い

反対に全く見ない広告の第1位もデジタルサイネージという結果でした。

ただしこれは電車内ではなく、駅構内のデジタルサイネージです。

駅構内のデジタルサイネージは、待ち合わせなど時間があるときには目につきやすいのかもしれませんが、通勤や通学で利用していると時間に余裕がないことや、日常生活に溶け込みやすい光景になってしまい目に留まりづらいということが考えられます。

とはいえ、駅構内のデジタルサイネージを毎回見ると回答した人も2割近くいるため、全く効果がないわけではありません。

 

・今後のデジタルサイネージのライバルは携帯!?

日本であまりデジタルサイネージが普及をしなかった原因として、スマートフォンの普及が挙げられます。通信環境はどんどん改善されていき、手のひらのなかで知りたい情報をすぐにキャッチできるため、情報が身近にあるスマートフォンが重宝されたのです。

 

駅に設置するデジタルサイネージの成功の鍵は、ただの動く広告ではなく特別感があり、そこでしか見られないようなコンテンツを作って配信することが重要といえるでしょう。

 

 

■何故デジタルサイネージは駅で用いられるのか?

 

そもそも何故、デジタルサイネージは駅でよく用いられるのでしょうか。理由は2つあります。

 

・駅の利便性を向上させるため

駅は毎日多くの人が利用するため、人目につきやすい場所には掲示板が掲げられ、昔から様々な看板やポスター、POP類が張り出されていました。それらは掲載期間や情報更新にともない張り替え作業が必要になります。小さな駅であればそれほど手間のかかる作業ではありませんが、都市部にある大きな駅では張り替えに多くの時間と人手が必要になります。そのため、時代の変化とともに広告やポスターは張り替えや更新の手間がかかりにくいデジタルサイネージへと移行されるようになりました。

 

・駅は多様な人が利用するため

できるだけ多くの人に商品や事業内容をアピールしたい企業にとっては、人が行きかう駅はうってつけの場所です。人の数が多いということは、企業がターゲットにしているユーザー層に認知されやすく、上手くいけばターゲット層以外のユーザーも取り込むことができるからです。

 

 

■駅にデジタルサイネージを導入して成功した事例

 

 

最後に駅でデジタルサイネージを導入して成功した例を3つご紹介いたします。

 

・疾患について周知させたイングランドの事例

イングランドのバーミンガムにあるグランド・セントラル駅の入り口には大きなデジタルサイネージが設置されています。MND協会はオーシャン・アウトドア社と協力し、運動ニューロン疾患(MND)という病気の認知拡大を図り、治療法がないことや、ベッドの上で治療を待つ患者がいることを伝えました。

運動ニューロン疾患は徐々に進行し、筋肉が機能しなくなる病気です。ですが、身体が動かせなくなっても視覚や聴覚、感情には影響がないため、患者の意識ははっきりしたままです。目でしかコミュニケーションが取れなくなることを知ってもらうために、サイネージには目元のアップ画像が映し出されています。

 

・ホームレスを支援するオーストラリアの事例

オーストラリアのメルボルンでは若年層の貧困とホームレス化が社会問題になっています。

メルボルンではホームレスの子どもたちが非常に多く存在し、路上での生活を余儀なくされています。そこで、公共交通機関とホームレス支援団体が協力し、駅のICカードを使った寄付を実施しました。

駅の自動改札を抜けると、駅構内に設置されたデジタルサイネージに募金箱をもった人物が映っています。ICカードを募金箱に当てると、電車の運賃と同じ金額が募金され、サイネージに映る人が家に帰るようになります。手軽でありながら確実に誰かの助けになっていることを実感できるデジタルサイネージの活用方法といえるでしょう。

 

・強風にも負けない美髪を宣伝したスウェーデンの事例

スウェーデンでは、ヘアケアブランド「Apotec」が地下鉄のホームに設置したデジタルサイネージが話題となりました。

電車がホームに到着すると同時にデジタルサイネージに内蔵されたセンサーが作動し、ディスプレイに映った女性の髪が電車の風になびくよう設定されています。この広告は“Apotec製のヘアケア商品なら、強い風で乱れた髪でもすぐに美しくまとまる”ということが伝わる非常に商品訴求力の高い内容になっていました。

 

 

人の興味は千差万別なので、「駅にデジタルサイネージを設置してコンテンツを流すだけで万人を振り向かせることができる」とは言い切れません。ですが、ターゲットにとって魅力的なコンテンツを作り、配信方法を工夫すれば注目を集める広告を作ることはできます。

ターゲット間で話題になれば、やがて他のターゲットにも派生していくことでしょう。

今回の海外事例のように、駅という場を活かすことで、オリジナリティのある魅力的なコンテンツ作成に繋がるのではないでしょうか。

 

 

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