デジタルサイネージコラム
インターネットを介してコンテンツを配信するデジタルサイネージも例にもれず5Gの恩恵を賜ることになります。
今回は5Gの強みとその強みを活かしたデジタルサイネージの進化、今後見込まれる市場価値についてご紹介いたします。
■5Gを活用するメリット「5Gの強み」とは?
まずは5Gがもたらすメリットについて3点ご紹介いたします。
・高速かつ大容量
5Gとは「5th Generation」の略で、日本語に訳すと「第5世代移動通信システム」、つまり「4Gの次の世代の通信システム」という意味を指します。
現在主流である4Gの通信速度は100Mbps~1Gbpsですが、5Gになることで4Gの通信速度から20~100倍の速度になるとされています。
5Gでは2時間の動画をわずか3秒ほどでダウンロードできるともいわれているほど高速になります。また、データ通信の速度だけでなく、高精細でデータ容量の大きなファイルであっても、やり取りが可能になります。今までよりもデータ容量の制限が大きくなり、手軽に精細なVRなどが楽しめるようになります。
・低遅延
4Gではタイムラグと呼ばれる遅延が起こることも珍しくありません。
特に長距離で通信を行う場合は、タイムラグが顕著に表れてしまいます。しかし5Gでは4Gで発生していたタイムラグを0.01秒からおおよそ10分の1にあたる0.001秒まで縮めることができるようになります。そのため、動画コンテンツが途中で停止してしまったり、ビデオ通話の会話が数秒遅れてしまったりということが改善されます。
・複数の同時接続が可能
家庭で使われているWi-Fiは多くても10台程度が上限とされていますよね。
上限を超えた台数が接続されると通信速度が遅くなってしまいます。
しかし5Gになることで今までよりも多くの端末台数が同じWi-Fi機械に同時に接続可能となります。現在非常に注目度の高い「IoT」をスムーズに利用するためにも、多くの端末が同時に接続可能となることは重要といえます。
■5Gによって進化するデジタルサイネージ
5Gはデジタルサイネージの活用にどのような影響を与えるのでしょうか。
こちらで具体的な例を5つご紹介いたします。
・臨場感あふれるリッチな動画の配信
今まで端末から動画配信コンテンツを流そうとすると、端末やバッテリーに負荷がかかり電池切れやバッテリーの消耗に繋がっていました。しかし5Gが利用できると端末への負荷が大幅に軽減され、4Kや8Kといった高精細なスタジアムやライブの視聴・配信が可能になります。デジタルサイネージでも高精細なコンテンツを手軽に提供できるようになります。
・オフライン広告もより便利に
5Gがデジタルサイネージに与える影響はオンライン配信だけではありません。
高速で大容量のデータをダウンロードできるようになるため、オフラインであってもデジタルサイネージで配信するコンテンツの変更や修正が行いやすくなります。
短時間で新たなコンテンツがダウンロードできるようになれば、デジタルサイネージが使用できない時間も短縮され、ユーザーにPRできる時間を今までよりも多く確保できるようになります。
・ARやVRを利用した広告配信
現在、注目を集めるAR(拡張現実)やVR(仮想現実)のサービスは、大容量のデータ通信が必要になるため5Gの導入が欠かせません。5Gが一般的になることでデジタルサイネージにも採用しやすくなります。ARやVRといった技術をデジタルサイネージに用いると広告の表示方法が広がり、今まで以上に注目度が上がることは予想に難くありません。
・実店舗での顧客分析
大容量データ通信が可能になるため、実店舗でリアルタイムに顧客分析が行えるようになります。たとえば顔認証システムで頻繁に店舗を訪れる顧客の行動データを集めたり、店舗内に設置したデジタルサイネージで顧客に合わせた動画広告やクーポンを配信したり、AI機能を使ってうまくプロモーションをすることで顧客が興味のある商品に辿り着けるよう誘導することも可能です。
・遅延しない遠隔操作での動画配信
大容量データ通信を行ってもタイムラグが発生しないので、遠隔操作でのデジタルサイネージの利用幅も広がります。場所や時間を選ばずユーザーごとのターゲティング広告も可能になり、個人のニーズを満たすことができるようになります。
■5Gを利用した際のデジタルサイネージの発展性
5Gの利用によってデジタルサイネージはこれからどのような発展を遂げると考えられているのでしょうか。最後にデジタルサイネージ業界でのこれからの見通しについてご説明いたします。
・5Gの商用化による市場規模の試算
4Kや8Kといった高精細なコンテンツ配信が可能になることで、デジタルサイネージを導入する企業は今後さらに増加すると考えられています。
株式会社サイバーエージェントの「店舗集客型デジタル広告(020広告)」の市場規模調査によると、2018年では205億円の市場規模が2020年には3倍を超える698億円にまで上がり、更に2024年には2,856億円にまで達すると予測されています。
最近多く見かけるようになったSNSの動画広告だけでなく、5Gによるデジタルサイネージなどの電子公告も今後さらに普及するでしょう。
また、アメリカの市場調査企業マーケッツアンドマーケッツは「2024年にはデジタルサイネージ市場は296億米ドル(日本円でおよそ3兆2,121億円)に達すると見込んでいる」とのレポートを発表しています。
世界的にもデジタルサイネージが活躍する場は大幅に広がるということはほぼ確定しているといえるでしょう。
・広告は「動画」であることが当たり前に
5Gがデジタルサイネージで活用されるようになることで、AIの導入も一般的になると考えられています。AIが導入されるほど通信性能が上昇したデジタルサイネージは、静止画よりも訴求力が高い動画での広告が一般的になります。また、不特定多数のユーザーに訴えかけるような動画広告ではなく、AIの解析によって個人にマッチした広告を流せるようになると考えられています。
これから日本でも5Gが当たり前の存在になることで、デジタルサイネージ市場も大幅な市場規模拡大が見込まれます。競合他社よりも早くデジタルサイネージを活用することで、5Gを利用したデジタルサイネージコンテンツがより磨かれるのではないでしょうか。