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デジタルサイネージコラム

海外でのデジタルサイネージの活用事例に見られる工夫とは?

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デジタルサイネージは海外で広く普及しており日本はまだまだ後進国であるといえます。デジタルサイネージは企業広告や販売促進に活用されていますが、ただ映像を流すだけでなく様々な工夫を凝らすことでさらに効果を高めることができます。

今回は海外の企業が自社の商品やサービスをアピールするために行ったデジタルサイネージを使った様々な演出事例をご紹介いたします。

 

 

■企業の強みをアピールするデジタルサイネージ

 

・香りも演出するイギリスの事例

ヘアケアや洗剤、トイレタリーなど幅広い商品を販売する「ユニリーバ」

2014年6月、イギリスのショッピングモールで2週間にわたってデジタルサイネージと香りをミックスしたユニークなキャンペーンを行いました。

計6か所のショッピングモールにデジタルサイネージを設置し、画面に登場したブランドマスコットと一緒に、パネル前に敷かれたビニールグラフィックの花で石蹴りゲームが楽しめるというものです。

マスコットの掛け声に合わせてデジタルサイネージで遊んでいると、一定間隔で新商品の洗剤の香りが噴射される仕組みです。香りを感じることで五感が刺激され、ゲーム中でも記憶に残りやすくなる新感覚のPR方法として大いに盛り上がりました。

 

・女性にだけビールを進めるドイツの事例

男性から高い支持を得るドイツのビールブランド「アストラ」は、女性ファンを獲得すべく女性をターゲットにしたマーケティングをデジタルサイネージによって成功させています。街頭に設置したデジタルサイネージのパネルの上部に小型のカメラを内蔵し、通行する人の性別と年齢を自動で判別、画面に現れた男性が女性のみに話しかけるというユニークな内容でした。このプロモーションはSNSで一瞬にして拡散され、飲食店ではアストラを注文する女性が増えたそうです。

 

・デジタルサイネージで仮想試着

アメリカの高級ファッションブランド「レベッカミンコフ」ではデジタルサイネージを活用した試着体験が話題となりました。

顧客は入店とともに壁面に設置された大きなミラー型のデジタルサイネージをタッチします。このサイネージにはオンラインカタログが映し出され、選択した商品はスタッフによって試着室に運ばれます。

試着室にも等身大のミラー型デジタルサイネージが設置されており、先ほどのようにパネルを操作するだけで試着室にいながら商品の追加持ち込みが依頼できます。

このシステムを導入したミンコフ氏によると「サイズ変更のために試着の途中でわざわざ外に出ることを嫌がる顧客は多い。このシステムは店に居ながら遠くのスタイリストと仮想接続することもできる。私はこの画期的なシステムに大変興奮している。」とのことです。

 

 

■表彰された海外のデジタルサイネージ事例

 

海外ではオリジナリティ溢れるデジタルサイネージの活用が進んでおり、高い評価を受けたコンテンツはDSE(デザインサイネージエキスポ)で表彰されます。

 

・情報をデジタル化したスーパーマーケット

アメリカのスーパーマーケットを運営する「クローガー社」は、小売部門にて銀賞を受賞。

大型スーパーによくある、商品を見つけるまでに時間がかかる問題や、作業に時間がかかってしまう従業員の問題をデジタルサイネージによって解決しました。

商品価格、産地、栄養、特売情報、クーポンなどリアルタイムの情報をデジタルサイネージで更新することにより、ペーパーレスや従業員の作業効率アップを実現化したそうです。

今後はスマホアプリと連携することで、登録されたパーソナルデータから顧客が興味を惹きそうな陳列棚を表示させるなどの機能も追加されるそうです。店舗PRの活性化に繋がり、従業員と顧客の両方にとって利便性の高い店舗になりました。

 

・大自然の映像で認知度も向上

アメリカのカリフォルニア州にある「セールスフォースドットコム」はビジネス部門で金賞を受賞。本社ビルの壁一面をデジタルサイネージにし、大自然の風景を流したアイディアが高く評価されました。多くの企業はデジタルサイネージで自社PRや広告を流しますが、セールスフォースドットコムは大自然の映像で会社を訪れた人に驚きと感動を提供しています。このことはメディアで取り上げられ、会社を訪れる人が増えるとともにSNSでも拡散され、企業認知度に大きく貢献する形となりました。

 

・フットボールの博物館で360°のビデオシアター

アメリカンフットボールチーム、ミネソタ・バイキングスの歴史を紹介する博物館「ザ・バイキングスミュージアム」の設計を手掛けた「ディメンショナルナルイノベーションズ」は教育/ヘルスケア部門で銀賞を受賞しています。

館内には随所にデジタルサイネージを活用した展示がみられます。特筆すべきは360°をデジタルサイネージで構成したビデオシアターです。このシアターにはSNSに投稿された多くのファンメッセージが映し出され、チームへの愛やファン同士の繋がりが感じられる唯一の空間に仕上がっています。

 

 

■Wow factorを使ったユニークなデジタルサイネージ

 

 

Wow factorとは、思わず驚きの声をあげてしまう感動的な要素を指します。

あらゆる手段のPRが日常的になった現代において、Wow factorを使っていかに人の視線を集めるかが大きなカギになるといわれています。

 

・フクロウの木

ネットショッピング利用者が増えたことに対抗すべく、アメリカの小売店が考えた事例が「フクロウの木」です。アメリカのシカゴにある百貨店ルイス・ジュリエットのエントランスに設置されたフクロウの木にはクリスマスオーナメントのようにいくつものデジタルサイネージが飾られています。各サイネージにはイベントへの誘導や地域の情報、SNSに投稿された話題のコンテンツ等が放映されています。デジタルサイネージの設置方法で多くの人の興味関心を集めたWow factorです。

 

・咳で禁煙を促す掲示板

スウェーデンのストックホルムに設置されたデジタルサイネージには、煙草を吸いながら前を通るとディスプレイに表示された人物が咳をするというコンテンツが配信されました。

これは禁煙を呼びかけるために設置されたもので、喫煙者が思わず「自分のせいで誰かが咳をしている」と足を止めてしまうように作られています。コンテンツは咳をする人物に続き、「新しい年、新しい抱負を」というメッセージが流れます。

 

・溶けていくアイスを救う参加型イベント

マレーシアのクアラルンプールではマクドナルドが行ったキャンペーンが話題になりました。クアラルンプールの気候は高温多湿なのでアイスクリームがすぐに溶けてしまいます。

これをヒントにマクドナルドはデジタルサイネージにどんどん溶けていくアイスクリームの様子を配信。ユーザーがスマートフォンにアプリをダウンロードし、アプリに表示されたファンを回して気温を下げればアイスクリームが元の形に戻るという設定です。

たくさん協力してくれた人にはクーポンが配信され、クーポンはアイスクリームのように徐々に溶けていくという仕掛け。参加した人は急いでクーポンを使うという流れになっています。

 

 

海外のデジタルサイネージ活用事例を見ていると、趣向を凝らしたコンテンツを配信していることがよくわかります。ユーザーの関心を引くための手法として、クリエイティブな発想とデジタルサイネージの組み合わせは非常に相性が良いといえます。

今後、日本でもどのような活用事例が増えるのか期待が膨らみます。

 

 

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