デジタルサイネージコラム
その機能をさらに活かすのがオンライン接続、デジタル機器やシステムとの連携です。
それらを最大限に活用した場合、どのようなマーケティングが可能になるのでしょうか。
よりパーソナライズなマーケティングが重視されるであろう今後、見逃すわけにいかないでしょう。
■デジタルサイネージの強み
・オンライン接続ができる
情報社会である現代では、早く新しい情報をいかに提供するかが重要です。
一部のデジタルサイネージはオンライン接続が可能なので、新しい情報の配信が随時行えます。また、オンライン接続ならコンテンツを視聴しているユーザーの情報を統計化することもでき、どのようなコンテンツが注目されているのかを知ることができます。集めた情報はより良いコンテンツ作成に役立ち、今後のアプローチに大きく貢献します。
・デジタル機器との連携
デジタルサイネージなどの屋外広告は、プランニングの際に人の行動データを粒度で把握することが必要です。各地にある携帯電話の基地局は、スマートフォンの位置情報の取得に利用されていますが、2016年に大手携帯会社がスマートフォンの位置情報をもとにした年齢、性別などの人口分析に成功しました。個人を特定することはできませんが、これまで可視化が難しかった屋外広告とユーザーの接触を詳細に把握できるようになりました。この技術により、どこにどんなコンテンツを配信すると効果が高いのかが分かるようになります。
・AIとの連携
AI技術の進化や応用が各分野で進められており、デジタルサイネージでもAIと連携させることでコンテンツに反映することができるようになります。
AIが学習したユーザー情報を集計し、コンテンツを届けたいターゲット層に適切な情報を届けられるようになります。多くの情報を収集することで情報の正確性も上がり、宣伝効果を高められます。
■デジタルサイネージを活用したマーケティング
・デジタルサイネージで放送できるメディア
デジタルサイネージはアナログ広告よりも多くの情報を発信することができます。たとえば看板やポスターはビジュアル面では効果がありますが、視界に入らなければ詳細を知ることができません。しかしデジタルサイネージでは音を入れることができるので、たとえ視界に入らなくてもユーザーの耳に情報を届けることができます。
・one to oneマーケティング
オンライン型デジタルサイネージを活用することで、ユーザー一人ひとりに合わせたコンテンツの配信ができるようになります。そのため、ユーザーが本当に必要とする情報を選別することや、商品の訴求につなげやすくなります。
・広告の自由度が高くなる
組み合わせ次第でクリエイティブ性の高いコンテンツ配信ができるところはデジタルサイネージの強みといえるでしょう。従来のアナログ広告はインパクトに欠け、ユーザー自身が興味を持って読もう、見ようとしない限りは集客に繋がりにくい傾向がありました。
デジタルサイネージは複数のメディアをミックスさせることで表現の幅が広がり、独自性が生まれて高い訴求力を持たせることができます。
・違和感のないネット広告
オンライン上には様々な広告があります。スマートフォンの普及によりネット広告に慣れたユーザーは、動きや音声のある広告を受け入れやすくなっています。ネット広告はデジタルサイネージのコンテンツに共通する特徴があるため、ユーザーが違和感を持ちにくいので受け入れやすくなっています。
・リアルタイム更新
情報の更新に手間がかからないので、最新情報をいつでも配信することができます。ポスターのように手間をかけず素早い情報提供ができるので、旬のコンテンツを最適な期間にユーザーへ届けられます。
・人手不足の解消
スタッフの少ない場所では接客や商品紹介、ディスプレイ変更など複数の業務を掛け持ちする必要があり、負担が大きくなっていました。しかしデジタルサイネージがあることで売り場案内や商品紹介を任せることができ、スタッフの負担を軽減させることができます。
■デジタルサイネージの活用方法
・自転車の空き状況を発信
イギリスでは政府による公共の自転車レンタル制度があります。この制度では、自転車を利用する際にどこの駐輪場に何台空きがあるのかを知らせる「リアルタイムマップ」にデジタルサイネージが活用されています。また、スマートフォンのアプリから空き状況を確認することもできるので、住民はもちろん、観光客からの需要も高くなっています。
・ファッションコーデを提案
オランダのアパレルブランド「Scotch & Soda」は、デジタルサイネージで現地の気候に合わせたファッションコーデの提案を行っていました。気温や天気によって表示されるコーデが変わるだけでなく、風でマフラーが揺れているような細かい演出もあります。SNSでも同様の宣伝が行われ、店舗を利用するユーザー以外の関心を引くことにもつながりました。
・NYタイムズスクエアに広がるアメリカンジョーク
2016年にアメリカで実施されたコカ・コーラの企画が話題になりました。
SNSに名前と#COKEMYNAMEを投稿することで、名前にちなんだアメリカンジョークのようなパーソナルメッセージがタイムズスクエアの街頭ビジョンに表示されるというものです。さらに、表示されたメッセージは画像となって名前を投稿した人に自動配信されました。街頭ビジョンとモバイルを連携した“もてなし”は「ニューヨークらしい演出だ」と大反響だったそうです。
今後も、デジタル技術とサイネージを連携させた活用が進んでいくことが予想されます。デジタルサイネージを導入するなら、パーソナライズを意識した運用を考えておくと、時代を先駆けるアイディアがひらめくかもしれません。