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デジタルサイネージコラム

災害時のデジタルサイネージの役割と今後の課題について

  • # デジタルサイネージ一般論
  • # 活用事例
 

日本でデジタルサイネージが活用され始めて40年以上が経過します。

商業施設や交通機関など多くの施設に導入され、時代の流れに合わせて変化してきたデジタルサイネージですが、近年では災害時の情報伝達媒体として注目されています。

今回は、災害時のデジタルサイネージの役割や今後の課題についてご紹介いたします。

 

■公共施設でのデジタルサイネージ

 

さまざまな公共施設で紙媒体のポスターやチラシに代わって、デジタルサイネージを駆使して告知や広告、案内を行うことが増えています。少し町に足を運ぶだけで、多様なデジタルサイネージを目にすることができるでしょう。そこで、公共施設でデジタルサイネージを利用することのメリットや、おすすめの設置場所とコンテンツについて解説します。

 

・公共施設で活用するメリット

公共施設でデジタルサイネージを活用することで、様々なメリットがあります。

最初に考えられるメリットとしては、少ない手間とコストで情報を最新のものに差し替えて映し出すことができるため、緊急性の高い連絡事項などを迅速に伝えられることです。

 

紙媒体で情報を掲示している場合、情報が変わるたびに内容を書き換えて印刷する必要がありますが、デジタルサイネージではコンテンツをPCで更新するだけで済みます。また、デジタルサイネージの形式によっては、現地から離れた場所にいてもPCを使って内容を更新できるため、業務の効率化も図れます。

 

次に考えられるメリットは、広告のために用意できるスペースにとらわれず、発信する情報量を増やせることです。

 

紙媒体だと、可能な情報発信量は掲示板のスペース次第ですが、デジタルサイネージではそういった制限はありません。デジタルサイネージへの注目を集めるためにニュースや天気予報などを合間に挟むこともでき、施設を利用する方の利便性の向上にもつながります。

 

・公共施設でおすすめの設置場所

公共施設では、多くの人の目に触れるような場所にデジタルサイネージを設置することをおすすめします。たとえば市役所や図書館であればエントランスホールや案内所、他にも駅やバス停、待合室や休憩スペース、レストランなどがおすすめです。

 

・おすすめのコンテンツ

公共施設のデジタルサイネージで配信するコンテンツとしては、業務案内や観光案内、天気やニュースなどのパブリックコンテンツに加えて災害情報などがおすすめです。

 

対人での業務案内をサポートできるようなコンテンツを配信すれば、伝達の効率化が図れますし、観光案内で周辺地域の観光名所やお土産などをPRすることもできます。また、ニュースなどを流せば待ち時間の不満を軽減することができ、災害情報や避難時の案内を流すことで利用者の不安を軽減できるでしょう。

 

■災害時の情報伝達媒体としての役割

 

人通りの多い場所に設置され、最新の情報を容易に配信できるデジタルサイネージは、災害時の情報伝達媒体としての注目も集めています。

 

・設置エリアごとの情報を自動配信し安全をサポート

災害や気象警報の発表時には、設置エリアごとの情報を自動で配信し、安全をサポートすることが可能です。災害による被害状況や被害が大きい地域の情報、適切な避難経路など、その時その場所で必要な情報を迅速に提供することで、災害による被害の拡大を減らすことができます。

 

・施設案内などとの併用による適切な案内

災害発生時にはその場が騒然となり、出入り口や階段付近などが人で溢れかえることが予想されます。特に口頭のみの避難誘導では細部まで情報が伝わりきらず、かえって混乱を招く結果になることも考えられます。

 

デジタルサイネージを施設案内などと併用すれば、安全な避難口や最寄りの避難所などをリアルタイムで表示して、適切な案内を行うことが可能です。最新の情報を一目でわかるよう案内できるのもデジタルサイネージの強みです。

 

・目的に応じた柔軟なコンテンツ配信

デジタルサイネージを駆使して、さまざまな目的に応じた柔軟なコンテンツ配信を行うことも可能です。災害情報や避難誘導のみならず、被災者の安否情報を随時更新して掲示するなどの利用法もあります。

また過去の教訓より、今後デジタルサイネージとスマートフォンの連携も期待されています。スマートフォンとの連携が叶えば、いつでも最新情報を確認することができるようになります。これもデジタルサイネージならではの技術と言えるのではないでしょうか。

 

■災害時の利用と課題

災害時にも便利に利用できると注目を浴びるデジタルサイネージにも、いくつかの課題が残されています。

 

・ディスプレイ自体の研究開発

コンテンツを映し出すためのディスプレイは、そのサイズによって異なるものの、中型以上のもので消費電力が100Wを越えると言われています。被害状況によっては電力不足に陥ることも考えられるため、停電や節電に対応した省電力ディスプレイの研究開発が急務です。

具体的には風力発電機、太陽電池や蓄電池などといった節電、停電時にも使える動力を備えたディスプレイなどが実証され、実用化が進んでいます。

 

・情報難民ゼロプロジェクト

災害発生時、外国人や高齢者などは最新の情報を得ることが難しいということも問題視されています。そのため、政府は2016年9月から「情報難民ゼロプロジェクト」を始動させました。

 

これは2020年までに災害情報を視覚化や多言語化することによって、外国人も最新の災害の情報を得ることができるようにし、また高齢者にも災害情報や避難についての情報が届くようにするというものです。

 

ジタルサイネージは視覚的な情報を配信しやすく、また字幕等で多言語へ対応することも比較的容易です。今後さらにデジタルサイネージの役割は拡大していくことでしょう。

 

日本中で広告や施設案内等で活用されることの増えているデジタルサイネージは、災害時にも大きな役割を果たす存在です。屋外で災害に直面した利用者に、視覚的情報などを駆使してわかりやすく適切な案内を行えるため、今後の災害対策の手段としても活用されていくことが期待されます。

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