デジタルサイネージコラム
日本の街中でもデジタルサイネージを見かける機会が少しずつ増えてきました。
デジタルサイネージは配信するコンテンツ次第で色々な活用法がありますが、現状どのような使われ方が一般的なのでしょうか。よく見かける活用法や、今後デジタルサイネージの普及が見込まれる分野について触れてみたいと思います。併せて、今後の生活をより豊かにするための最新デジタルサイネージをご紹介いたします!
■デジタルサイネージの現状
はじめに、現在日本で使われているデジタルサイネージの主な活用方法5つについて見ていきましょう。
・デジタルサイネージの活用方法
<情報発信>
飲食店、アパレルや家電量販店のほか、駅や電車内、銀行など多くの施設で見ることができます。フロアの案内や店舗のお知らせ、運行情報、金利や株価の情報を表示するなど非常に多くの活用方法があります。最近は役所、図書館、病院、マンションなどにも用いられています。
<広告>
屋外での大型広告のほか、駅やバス停に設置されたデジタルサイネージでは多くの企業が広告を流しています。デジタルサイネージは1つの機器で複数のコンテンツを配信することができるので、ユーザーはいくつかの企業の広告を見ることができます。
<プロモーション>
商業施設では販促ツールとして、人気商品やおすすめ商品の紹介などに使われることが多くなっています。小型のデジタルサイネージや壁掛けタイプもあるので、設置場所が限られる店舗でも使うことができます。
<空間演出>
商業施設や公共施設、テーマパークなどでは空間演出として美しい映像やイメージ動画を流すための手段として活用されています。動画は簡単に切り替えることができるので、期間や季節に合わせた動画の再生も可能です。
<イベント利用>
イベント情報の案内や協賛企業の紹介など、情報発信ツールとしてデジタルサイネージが用いられることが増えています。最近は、展示会や万博といった大規模イベントでの需要が高まっています。
■今後デジタルサイネージのさらなる普及が期待される業界
今後、デジタルサイネージの需要が高まるとして予想されている2つの業界についてご紹介いたします。
・タクシー(車内広告)
コロナ禍においては、混雑しがちな電車での移動を避けるべくタクシーを利用する人の数が増えたそうです。緊急事態宣言後には一時的に利用者が減少したものの、宣言解除以降は利用者が戻りつつあるようです。
<メリット>
利用者がタクシーに乗車する平均時間はおよそ18分。車内は閉鎖された空間のためできることが限られており、繰り返して広告を配信すれば、高確率で視聴されることが予想されます。広告主はタクシーを利用する客層を把握することで焦点を絞った配信ができ、テレビ広告よりも高い訴求が見込めるようになります。配信中、利用客は無意識に目や耳から情報を吸収し、広告主への親近感が湧くようになります。
<デメリット>
車内という狭い空間の中ではデジタルサイネージの音量が大きく感じることもあるでしょう。音声がオフの状態でも内容が伝わりやすいコンテンツの作成や、飽きさせないための工夫として複数のコンテンツを用意しておくのがおすすめですよ。
常に広告を配信していると実際の宣伝効果が分かりにくい点が挙げられます。動画再生中にQRコードを表示し、クーポンが獲得できるよう工夫することで、QRコードが読み取られた回数を計測すれば費用対効果が見えるようになります。
・美容室
<メリット>
新しくオープンした美容室が、どのようなサービスをしているのか詳しく知りたいという方は多数います。デジタルサイネージを設置し、料金やサービス内容を紹介することで、通行人の興味を引くことができたり、他店との差別化を図ることができるようになります。また、店内の雰囲気を伝えることで新規ユーザー獲得のチャンスが広がる効果もあります。
ほかにもデジタルサイネージをサブスクリプションとして活用する方法があります。
美容室の顧客データを集約、解析し、人気のコスメを取り扱う店舗やアパレルショップの広告を一時的に流すことで、他者からの広告収入を得ることが期待できます。
<デメリット>
音声付きの動画は店内のBGMとかぶってしまい聞き取りにくくなるなどの問題が発生します。店舗の雰囲気を壊さないためにも音声付きのコンテンツは避けるか、活用方法を工夫した方が良いでしょう。
■身近にもある?最新のデジタルサイネージ
・状況に対応して表示する「センシングサイネージ」
センシングサイネージとは、カメラとIoTを搭載したサイネージが、性別、年代、天候、気温、湿度といった情報を集約し「周辺にいる人に適した広告を流すサイネージ」です。たとえば、寒い日には温かい飲み物やカフェの広告、女性が多い場所では化粧品やスイーツの広告、夕方以降になればアルコールの広告といった具合に、臨機応変な配信が可能になります。
・埼玉高速鉄道の広告ディスプレイ
埼玉高速鉄道では鉄道車内にセンシングサイネージを用いた「ダイナミックビークルスクリーン」が設置されました。上記でご紹介したセンシングサイネージが使われた世界初の鉄道として非常に注目が集まっています。ダイナミックビークルスクリーンは車内の混雑状況や天候に合わせて再生される動画が変わる仕組みになっています。
・大阪近鉄なんばのアーバンビジョン
大阪の近鉄難波駅東改札口には、壁や柱の形状に合わせて設置された23枚のデジタルサイネージがあります。それぞれのサイネージには広告が表示され、搭載されたカメラが見られた回数を計測、時間帯や広告主の予算に合わせて効率よく配信される仕組みです。
コンテンツの視聴者情報はエッジAI解析技術によって保護されており、通行人の映像が録画されることはありません。また、情報は個人の特定が不可能な統計情報として扱われ、即時破棄されるなど個人情報の流出を懸念する人にも配慮されています。
デジタルサイネージは技術や活用次第でますます利便性が向上していくと予想されています。今回ご紹介した業界以外にも、デジタルサイネージを導入することで新たな可能性が誕生する業界が増えていくのではないでしょうか。