デジタルサイネージコラム
これまで、デジタルサイネージやLEDビジョンを使った空間演出についてご紹介してきました。今回ご紹介するのは透過型LEDビジョンを使った空間演出です。過去に「再現が難しい」といわれていた空間演出も、最新のLEDビジョンならできるようになると期待されています。うまく活用することで人々をワクワクさせられるような空間演出が完成しますよ!
■透過型LEDビジョンとは?
透過型LEDビジョンは別名「シースルービジョン」とも呼ばれる、非常に新しいLEDビジョンの一種です。
・透過型LEDビジョンとは
透過型LEDビジョンは名前の通り、背景が透けて見えるLEDビジョンです。
LEDが格子状にブラインドカーテンのように並んでおり、パネルそのものに透過性があります。最大80%もの透過率があり、海外では既に多くのアパレルショップやブランドショップ、ショールーム、商業施設で使われています。
・透過型LEDビジョンを利用するメリット
透過型LEDビジョンを採用することで、通常のLEDビジョンなら遮られていた光が取り入れられるようになります。たとえば店舗の窓にLEDビジョンを設置すると外光が遮られてしまいますが、透過型LEDビジョンであれば採光量を確保したまま広告を打つことができます。また、店内が見えることで迫力ある高彩度のコンテンツを配信しながら商品のPRをすることもできます。
そのほか駅や空港など開放的で明るい空間に用いれば、明るさを維持したまま演出することができるなど、多くの場所での利用に向いているといえます。
■透過型LEDビジョンでできる空間演出
透過型LEDビジョンは日本でまだあまり普及していません。
早めに取り入れることで、非常に高い注目や宣伝効果を得ることができます。
透過型LEDビジョンを用いた具体的な空間演出方法は、これからご紹介する3つがあります。
・まるで空中に浮いているような空間演出
透明度の高い透過型LEDビジョンだからこそ、何もない場所に映像が浮かんでいるかのような空間演出ができます。たとえば、天井から透過型LEDビジョンを吊るすことでコンテンツが空中に現れたように見えます。店舗名やセールなど、注目させたい言葉を表示するだけでも高い宣伝効果が生まれます。演出方法を工夫することで、まるで3Dホログラムのように見せることもできるでしょう。
・音と連動させた空間演出
映像コンテンツをより迫力のあるものにするためには音と連動させるのが効果的です。
特におすすめなのが、ガラスや壁など設置した場所をスピーカーのように活用することができる「インビジブルスピーカー」です。透過型LEDビジョンと併用することで、映像コンテンツそのものから音が出ているかのように錯覚させることができます。
・エンターテインメント性が高い演出
透過型LEDビジョンは、ガラス面などと相性が良いのが特徴です。窓ガラスを利用することで、プロジェクションマッピングのように映像コンテンツによって建物の雰囲気を変化させることも可能になります。
季節イベントに合わせてコンテンツの演出を変えれば、エンターテインメント性が高まります。たとえば、クリスマスの時期にサンタクロースが窓に現れる映像コンテンツを流せば、ユーザーに驚きと感動を与えることができるのではないでしょうか。
■透過型LEDビジョンによる空間演出実例
最後に透過型LEDビジョンの空間演出を3つご紹介いたします。
・中国のショッピングモールに導入された超巨大透過型LEDビジョン
中国の珠海にあるショッピングモール「Huafa Mall 華發商都(フアファモール)」には世界最大級の大きさを誇る透過型LEDビジョンの天井があります。
建物のメインストリート部分の天井には葉をモチーフとした11枚の透過型LEDビジョンが連なるように配置されており、その長さはなんと340mにもなります。合計で8,000㎡の大きさを誇る透過型LEDビジョンは訪れる人の心を癒すような美しさで幻想的な空間を作っています。
・人気ロックバンドのライブ演出
コアなファンから根強い人気を誇るロックバンド「amazarashi(アマザラシ)」が2016年に行ったライブが話題になりました。
ライブ会場となった幕張メッセイベントホールの中央には、メンバーを囲う巨大なボックス型の透過型LEDビジョンがあり、楽曲に合わせてアニメーションや歌詞など様々な映像が流れるようになっていました。
透過型LEDビジョンによって唯一無二の世界観が生み出され、会場を訪れたおおよそ10,000人のファンを魅了しました。
・スペインのショッピングモールの吹き抜け部分
アイルランド発のファッションブランド「PRIMARK」がスペインのマドリードにオープンした際、透過型LEDビジョンを多用した演出が注目を集めました。
元々ショッピングモールだった建物の構造を活かし、中央のアトリウム部分には11面もの大きな透過型LEDビジョンが空間演出として取り入れられました。
吹き抜けの部分が透過型LEDビジョンになっており、開放的でありながら高い宣伝効果を与えています。
日本での利用は一部にとどまっている透過型LEDビジョン。空間演出の主流になるにはまだまだ時間がかかりそうです。あまり見かけることがない今だからこそ、いち早く導入することで高い宣伝効果と話題性をもたせることができるのではないかと予想されます。