デジタルサイネージコラム
アパレルはトレンドを抑えるためにチェックが欠かせません。時代の最先端を行くのはデザインや衣類のコーディネートだけでなく、広告も同じです。これまでアパレル業界では様々な革新的広告が誕生してきました。今回はアパレル業界からWeb広告とオフライン広告の活用事例についてご紹介いたします。
■ アパレル業界におけるWeb広告の重要性
・アパレル業界でWebは非常に重要
アパレル業界におけるWeb戦略の重要度は年々増しており、その背景にはアパレルのEC化があるといわれています。2014年以降、アパレルECの市場規模は右肩上がりです。2020年の経済産業省からの発表によれば、2019年度のアパレルECの市場規模は1兆9,100億円にものぼっています。
また、アパレル業界のEC化率にも注目しなければなりません。2019年のアパレル業界におけるEC化率は13.87%で、全産業の平均EC化率6.76%を大きく上回っています。
以上のことから、現代のアパレル業界で成功するためには、Web広告を活用して「いかにECサイトの売上を増大させるか」が重要なポイントであるといえるでしょう。
・アパレル業界でWeb広告を導入するメリット
<ECサイトへの流入が見込める>
アパレル業界がWeb広告を活用する最大のメリットは、ECサイトへの流入が増加することです。「スマートフォンやパソコンで表示されたWeb広告をクリックして、そのままECサイトで買い物をする」という導線が構築できるため、スムーズにECサイトに誘導することが可能です。
<SNSと相性が良い>
アパレル業界はInstagramやTwitterなどのSNSと非常に相性が良い業界です。SNS上にはおしゃれな動画や画像を探しているユーザーが多いため、アパレルブランドの広告は目に留まりやすいうえに拡散されやすいという特性があります。</p><div>
<p>アパレルブランドがSNSで情報発信することは、「おしゃれな画像をシェアしたい」というユーザー心理を満たすことにもつながっているのです。今やアパレル業界のプロモーションにSNS広告は欠かせないツールとなっています。
<動画との相性が良い>
アパレル業界の広告は動画との相性も良いのが特徴です。写真や文字だけの広告よりも、モデルが着用して実際に動いている動画広告の方が、視覚・聴覚に強く訴えかけることができます。その結果、消費者の購買意欲を高める可能性が高くなるのです。</p><div>
<p>また、ECサイトで衣服を購入する場合、消費者は実際の商品を手に取ることができません。しかし、多くの情報を伝えられる動画広告であればユーザーにも安心感を与えられるため、購入につながる可能性が高くなるでしょう。
■ アパレル業界と相性の良いWeb広告の種類
・SNS
SNS広告とはFacebook、Twitter、Instagram、LINEなどのSNSプラットフォームに掲載されるWeb広告のことです。SNS広告は細かいターゲティングが可能なため、アパレル業界と非常に相性が良いとされています。
アカウントの登録情報やSNS上のフォロー状況、行動データなどをもとに、自社のアパレル製品に興味のある層へ的確にアプローチすることが可能です。
・動画
動画広告とは、動画コンテンツで配信するWeb広告のことです。動画広告には主に以下の種類があります。
●インストリーム広告:YouTubeなどの動画サイトのコンテンツ再生中に差し込まれる動画広告
●インバナー広告:Yahoo!のトップページやキュレーションサイトのバナー広告枠に掲載される動画広告
●インフィード広告:SNSのタイムラインに掲載される動画広告
●インリード広告:Webサイト内の記事の途中で表示・再生される動画広告
アパレルの購買意欲を掻き立てるためには、消費者に明確な着用イメージを描かせることが重要です。たとえば、動画広告は「スカートの裾が良いといえるでしょう。
また、実店舗以上に着回し術やコーディネートの提案がしやすい点も、動画広告の強みといえます。
・リスティング広告
リスティング広告とは、ユーザーが検索エンジンに入力した検索キーワードに連動して表示されるWeb広告です。アパレルでリスティング広告を活用すれば、すでに自社のアパレルブランドに深い興味を持った「購買意欲の高い見込み客」の集客につなげることができます。
リスティング広告は、すでにブランディングが確立している場合や他社と差別化されたアイテムをアプローチする場合に適しているため、アパレル業界との相性は良いとされています。
・ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、画像や動画、テキストなど、Webサイトやアプリに表示される広告のことを指します。年齢や性別、地域、過去のWebサイト閲覧履歴などから、消費者が興味・関心を持っている可能性が高い広告を配信することが可能です。
<p>この「リターゲティング」により、購買意欲のなかった潜在顧客に対しても「偶然目にした広告をきっかけに欲しくなってしまい、購入する」というステップを踏みやすくなります。そのため、衝動買いされやすいアパレル商材との相性は抜群といえるでしょう。
■ デジタルサイネージ×Web広告
・Web広告とデジタルサイネージの新しい広告の形
新しい広告の形として、Web広告とデジタルサイネージを組み合わせたO2Oマーケティングを取り入れるアパレル企業が増えています。
O2O(Online to Offline)とは、オンラインで情報を発信して見込み客を集め、オフライン(実店舗)へと誘導する施策のことを指します。また、オフラインからオンラインに誘導する逆のパターンも、O2Oマーケティングに含まれています。
<p>スマートフォンの普及によって時間と場所を選ばずにインターネットを利用できるようになったため、O2Oが有効なマーケティング手法として注目されています。
・O2Oはなぜアパレル業界と相性が良い?
O2Oとアパレル業界の相性が良い理由は以下の通りです。
●アパレル業界はSNSとの相性が良い
●アパレル業界では、クーポンや店舗アプリが集客につながりやすい
O2O集客の代表的な手法には、SNSと店舗アプリが挙げられます。SNSでは店舗名を入れた公式アカウントを作成し、新商品の告知やクーポン発行により実店舗に誘導することが可能です。若い世代を中心に、SNSでアパレル情報をチェックするユーザーは多いため、非常に有効な手段といえるでしょう。
また、ポイント管理・クーポン発行などの機能を持つ店舗アプリが集客につながりやすいとされているのも、アパレル業界の特性でしょう。たとえば、GPS機能を活用して近くにある実店舗をプッシュ通知するなどの機能も使えるため、アパレル業界が店舗アプリを活用したO2Oマーケティングを実践する価値は高いといえます。
・O2Oを運用する際の注意点
デジタルサイネージを活用したO2Oでは、適切なプロモーションを行わなければ顧客が競合に流れてしまう可能性があるため注意が必要です。
アパレル業界のO2Oでは、デジタルサイネージでECサイト限定の商品を紹介したり、ECサイトで利用できるクーポンをQRコードで配布したりしています。しかし、魅力のあるプロモーションでなければ、消費者がECサイトにたどり着く前に類似商品と価格や品質を比較し、競合他社の商品を購入してしまう可能性も考えられます。
そのため、デジタルサイネージからECサイトへの誘導は行いつつも、顧客を競合に流出させない魅力的なコンテンツを発信していく必要があります。
また、デジタルサイネージを活用した効果的なO2Oマーケティングには専門知識が必要となります。特に、設置場所や採用すべきコンテンツの選定に関しては、相応の知識や経験がなければ難しいでしょう。デジタルサイネージをO2Oに導入する前に、多くのサイネージ広告を研究することも必要です。
・デジタルサイネージ単体でも効果はある?
アパレル業界の場合、デジタルサイネージを単体で活用しても効果はあるといえます。視覚的・情報的にも幅広く発信できるデジタルサイネージは店頭での強力なPRになるうえに、他にもさまざまな演出方法が可能であるためです。
<p>たとえば、大型のデジタルサイネージに自社ブランドの服を着用したモデルを等身大で表示すれば、消費者にとってはその衣服の着用イメージが湧きやすくなります。また、複数のディスプレイで自社ブランドのファッションショーの映像を流せば、店内の雰囲気を華やかに演出することも可能でしょう。
店内の「華やかさ」「おしゃれさ」など雰囲気や空気感も大切なアパレル業界にとっては、デジタルサイネージ単体の活用であっても大きな効果が期待できるといえます。
■ デジタルサイネージ×Web広告
アパレル業界のWeb広告とデジタルサイネージの活用事例
・Web広告の事例
<ANAP>
レディースファッションブランドの「ANAP」は、Web上の動画広告をうまく活用して購買につなげています。
「ANAP 2019 HAPPY BAG スペシャルムービー」という動画広告では福袋の中身を公開し、さらにはクールなモデルを起用してフルコーディネートが可能であることも紹介しています。Web広告を使うことで消費者が安心して福袋を購入できるようにするだけでなく、さりげなくお得感をアピールすることで購入につなげた好例です。
<17kg>
韓国のレディースファッションブランド「17kg(イチナナキログラム)」は、ブログやSNSをWeb広告として活用しています。
17kgのブログには、季節やシーンに合わせたファッションアイテムやコーディネートが掲載され、ブログ記事の下部には掲載商品の購入画面へのリンクが貼られています。また、1日に10商品が投稿される公式Instagramは、まるでファッション雑誌のような構成となっています。Web広告によるターゲット層を明確に絞った情報発信で、うまく購買につなげています。
・Web広告×デジタルサイネージの事例
<UN3D.>
ファッションブランド「UN3D.(アンスリード)」は、店頭のデジタルサイネージを活用してユニークなプロモーションを実践しました。
来店者は、自分の顔と「UN3D.」のアートワークに包まれたモデルの顔をタッチパネルで融合させることが可能です。デジタルサイネージにより、自分の顔が変化していく「違和感」と、UN3D.の世界観に自分が溶け込んでいくという不思議な体験を演出したのです。
体験者の顔とUN3D.のアートワークが融合した画像はスマートフォンに送ることができ、来店者がInstagramにアップ・拡散することによって大きな宣伝効果を生み出しました。
<LE JUN>
日本初のヨーロピアン・コンフォート・ブランド「LE JUN」は、Instagramと店頭のデジタルサイネージをうまく連携しています。
Instagramでハッシュタグ「#lejun」を使った専用のページを作成し、そのページを店頭のデジタルサイネージで放映しています。来店者がデジタルサイネージに映し出されたアイテムを店頭で探す、または、店頭にないアイテムはオンラインショップで購入するという導線を見事に構築しました。
■ まとめ
アパレル業界で成功事例の多いWeb広告とデジタルサイネージですが、もちろんアパレル業界以外でも大いに活用することが可能です。特に実店舗を持っている場合は、デジタルサイネージを使ってさまざまなコンテンツを魅力的に演出し、オンライン・オフライン両方の集客につなげることが期待できます。
O2Oの集客にお悩みの方は、ぜひデジタルサイネージの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
エヌエスティ・グローバリスト株式会社
デジタルサイネージ事業部